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2020 だれかの記憶の物語
月夜の魔法
「まあ、わたしの話すことを、絵にかいてみなさい。」と月は、はじめてたずねてきた晩に、そういいました。「そうしたら、ほんとにすてきな絵本ができますよ」
――H.C.アンデルセン『絵のない絵本』より
星の生まる時
この作品は、稲垣足穂の小説「一千一秒物語」と、祖父の書斎にこっそり入り込んで自分の読める本がないか探した、小さいころの私自身の思い出をミックスして描いたものです。奇怪で神秘に満ちた物語世界を、子供の無邪気な夢想に重ねながら表現しました。
哲学者
「ヒンターポンメルン地方に、ダイヤモンドの山があります。その山は歩いて登るのに一時間、横切るのに一時間、通り抜けるのに一時間もかかる山です。その山に百年に一度、小鳥が一羽やってきて、ダイヤモンドにくちばしをこすりつけてとぎます。その山がこすれてすっかりなくなったら、そのとき、永遠の最初の一秒が終わるのです」
――グリム童話『ひつじ飼いの男の子』より
朗読者
「金よりすばらしいものは何か?」――「光でございます」――「光より人を励ますものは?」王はまた聞きました。――「語り合うことが」
――ゲーテ『メルヒェン』より
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