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2015 個展 十日物語
いくつもの愛についての話
ボッカッチョの代表作『デカメロン』より。
十人が十日に渡り、一話ずつ語るこの物語の設定をヒントに、今回の展覧会をアンソロジーの形にしました。
キリスト教が絶大な勢力を誇った時代の話とは思えないほど、ジェンダー、宗教、身分に偏見なく描かれた物語の数々は、等しく〈人間に対する愛情〉に満ちています。
大切な人を思い出す話
カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』を下地にした作品。
イシグロはこの小説で、全てを奪われながらもかけがえのない思い出を支えとし、
尊厳を保って生きていく人間の姿を描いています。
物語に出てくる、無くしたものが全て集まるという場所「ロスト・コーナー」が実在するならば、このような岬ではないかと思い浮かべました。
多くを無くした人々が、それぞれの思い出を見つけ出すことを願って…。
虫愛づる姫君の話
平安時代に成立した『堤中納言物語』の中の一話。
登場人物の姫君は「風の谷のナウシカ」のヒロインのモデルと言われています。
種を超えて他者と出会い、その一生から学ぼうとする姫君に、人間のあるべき姿を見る思いがします。
誰かを想い続ける話
ガルシア・マルケスの小説に、半世紀以上も一人の女性を想い続ける人物の話があります。心にあるものが全てだと確信し、想いが報われるその日のために、諦めることなく人生を組み上げていく…。その信念に心打たれ、生きる力を与えられます。
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